冤罪(誤判)防止コム >> 布川事件 >> 布川事件:再審開始確定後の状況報告

布川事件:再審開始確定後の状況報告

 

2010年2月2日 布川事件弁護団

1 再審開始確定

昨年(2009年)12月14日、最高裁第二小法廷は、検察官の特別抗告を棄却する決定をしました。

これにより、2001年12月6日の再審請求から始まった第二次再審請求審は、ほぼ8年の年月を経て、再審開始の判断が確定しました。

2 裁判所に対する申し入れ

現在、布川事件の確定審の記録は水戸地検に保管されており、また、請求審の記録は、1月中旬に最高裁から東京高裁を通じて水戸地裁土浦支部に送付され、整理された上で、土浦支部が水戸地検に貸し出している状況にあります。    そして、確定審と請求審の裁判記録は、2月上旬に、水戸地検から地裁土浦支部に送付される予定とのことです。現時点では、再審公判を行うべき裁判所では、未だ、記録の検討が進んでいない模様です。

このような状況の下、布川弁護団は去る1月22日に地裁土浦支部を訪れ、合議体の裁判官3名と面談し、以下の要請をしました。

まず第1に、早期に再審公判を開き、迅速な審理を進めるべきであることを求めました。布川事件は1967年に発生した事件で、櫻井さん、杉山さんは事件発生当時それぞれ20歳、21歳という若齢でしたが、今や還暦を超えています。43年にわたり無実を訴え続けてきた被告人らの苦難は察するにあまりあるものがあります。1日も早く無罪の判決が下されるべきであることから、早期の再審公判の開催と迅速な審理の開催・進行を求めました。

第2に、再審公判においては、実働の弁護人が多数いるので、その全員が着席可能な法廷を確保し、かつ、布川事件が社会的にも大きな注目を浴びている事件であることから、可能な限り多くの傍聴を可能とする配慮をするよう要請しました。

第3に、再審公判の準備と上記諸点の協議のために、検察官や被告人らを交えた進行協議期日を速やかに指定するよう要請しました。上記のように確定審、請求審の記録が裁判所に戻っていない状況であることから、裁判所は記録を早期に手にした上で、今後の再審公判の進行について検討をしたいとしており、2月下旬から3月上旬にかけて検察官を交えての三者協議を開催したいとの回答でした。なお、3月末で裁判体の構成が変わる可能性もあり、そのような事情が生じた場合には、本格的な三者協議は、4月以降となることも考えられます。

今回の弁護団の要請は、上記3点にしぼったものであり、再審公判における審理方針の詳細については、三者協議の場で協議したいと考えています。

3 検察官に対する申し入れの予定

裁判所に対する申し入れは上記のようなものでしたが、弁護団は、三者協議に先立ち、検察官にも面談を申し入れ、確定した再審開始決定の趣旨を最大限尊重して、違法な捜査や公判での証拠隠しで確定審の誤った裁判を導き、43年もの苦難を強いたことについて、櫻井さん、杉山さんに率直に謝罪し、迅速な審理に協力するよう要請したいと考えています。

4 弁護団合宿の開催

弁護団は、1月27日の弁護団会議に続き、1月30日、31日にかけて合宿を持ちました。参加者は21名にのぼり、再審公判に向けての基本方針の確定、審理上の問題点の検討などの作業を行いました。そして討議の結果、弁護団としては前記のとおり、検察官に対し、謝罪と迅速な審理への協力を強く求めたうえ、裁判所に対しては、再審公判を早期に開始し、審理を迅速に進め、一刻も早く2人に無罪判決を下して冤罪を晴らすよう求めていくことを確認しました。

新聞報道によれば、最高裁で特別抗告が棄却され、再審開始が確定した際の鈴木和宏最高検刑事部長のコメントは、「決定を厳粛に受け止め、再審公判において適切に対処したい」とのもので、よくある「主張が認められず遺憾である」というものとは異なったものでした。また、去る1月22日に行われた水戸地検新倉英樹次席検事の就任記者会見でも、布川事件についての質問に対しては、「記録を詳細に検討した上で的確に対応したい」とのことだったようです。「適切に対処」、「記録を詳細に検討した上で、的確に対応」されるのであれば、再審公判において新たな有罪立証をするなどということはおよそ考えられないものと弁護団は考えています。

しかしながら、今後の三者協議の中で、万一検察官が過去の過ちについて謝罪もせず、新たな有罪立証をしようとしてきた場合には、さらに2人に苦難を強いるこのような姿勢を厳しく批判するとともに、確定審、第一次、第二次再審請求審を通じて、粘り強く要求し実現してきた証拠開示をさらにおし進め、冤罪を産み出した構造を明らかにしながら、必要に応じ反論と反証を精力的に展開していきたいと考えています。

5 2月13日(土)午後1時から報告集会を開催

日本弁護士連合会は,2月13日(土)午後1時~3時、東京都千代田区霞が関1-1-3 弁護士会館2階の「クレオ」にて、布川事件特別抗告棄却決定についての報告集会を開きます。

弁護団が基調報告をし、研究者の方からも報告をいただく予定です。

弁護団からの報告では、確定審の誤りが、再審請求審でどのような証拠と判断に基づいて明らかにされたのか、そのために、弁護団がどのようなことをしてきたのか、最高裁の特別抗告棄却決定の意義等について報告し、再審公判での基本的方針についても報告をしたいと考えています。

また、研究者の方からは、研究者の目から見た一連の決定の意義や再審開始確定に至った背景事情にかかる意見、再審公判に臨むにあたっての意見も頂戴したいと考えています。

報告集会にはえん罪・再審事件の関係者・支援者や研究者の方々はもとより、広く市民の皆さんやマスコミの方々に多数ご参加いただき、多くの方々から建設的な意見を頂戴し、再審の門をさらに広げ、布川事件の再審公判での早期無罪を実現するための糧にしたいと考えています。

この集会のご案内をご覧になるには、下記 pdf fileをクリックしてください。

 

20100213布川事件報告集会チラシ.pdf