冤罪(誤判)防止コム >> 足利事件再審公判 >> -速報-検察官、9・14付けで意見書提出―録音テープ等開示に条件を付け、再審公判の証拠調べを牽制。

-速報-検察官、9・14付けで意見書提出―録音テープ等開示に条件を付け、再審公判の証拠調べを牽制。

検察官は、9月14日付けで「弁護人から求められている録音テープ等の開示と今後の審理方針についての」意見書を宇都宮地裁に提出しました。

その要旨は次のとおりです。なお「録音テープ等」とは、足利事件以外に不起訴とされた別件2件について菅家利和さんを取調べた際の録音テープや供述調書、取り調べ状況報告書などを言います。

(1)   検察官として、将来にわたり本件録音テープ等を秘匿するという意図は一切なく、開示を肯定するに足る相当な理由があれば、適切な時期に、適切な環境・条件を整えた上で、開示することは差し支えないと考えている。

(2)   問題は、本件再審公判における開示についてであり、検察官が有罪立証を放棄する意図を明確に示している以上、有罪、無罪に係る争点が一切存在しないことは明らかであり、続審説に立つとしても、再審開始決定の趣旨も踏まえ、無罪を導くために必要最小限度の証拠調べを行えば足り、鈴木鑑定書(及び同鑑定人の証人尋問)の取調べを行うことで被告人の無罪は明確になるから、それを超え、裁判所が示しているような、証拠排除の判断ないしそのための事案の取調べなどおよそ必要がなく、仮に、そうしたことを行うとすれば、裁判所自身が刑事裁判の制度目的を逸脱する訴訟活動を事実上認めるに等しく、正に背理というほかはない。

(3)   こうした観点からすれば、録音テープ等の証拠開示についても、本来、全く必要がないはずであり、裁判所が証拠開示の勧告ないし開示命令を出すとすれば訴訟指揮権の裁量の範囲を逸脱するのではないかとの深刻な懸念もある。他方、開示すれば必然的にその事実の取調べを行うことに直結するという訳ではなく、菅家氏に対し早期に判決の言渡しがなされるべきであるとの見地から、任意の証拠開示に応じることも十分検討の余地がある。そこで、任意開示のためには、まず、今後の審理計画が明確になることが不可欠である。しかし、例えば、本件の自白関係の証拠は、鈴木鑑定書に照らせば、いずれも信用性を欠くことになることは明らかで、この点について見解の相違は存在しないから、録音テープ等、さらには、主任検察官の証人尋問まで行うことは正に刑事裁判の目的を逸脱するに等しく、到底許されない(公判廷の自白に関して言えば、裁判官の尋問の必要性等も生じうるところであるが、そうなれば本件再審公判が際限のない検証の場となりかねない)。

(4)   検察官としては、今後の具体的な審理予定としては、第1回・公判手続の更新及びそれに伴う職権証拠調べ等、第2回・鈴木廣一教授の証人尋問及び同教授作成に係る鑑定書の取調べ、第3回・被告人質問、結審、第4回・判決言渡し、というのが本来あるべき姿と考える。

(5)   検察官としては、証拠開示に応じる用意があるが、裁判所におかれても、明確な審理計画の下に、再審制度の目的に沿った適正な審理を行い、できる限り早期に菅家氏に判決が言い渡されるよう、強く望む。

(6)   録音テープ等の開示条件

任意の開示に応じるとした場合、最も懸念されるところは目的外使用である。弁護人のこれまでの姿勢からして、外部流出のおそれが濃厚であると言わざるを得ず、目的外使用違反を防止するための適切な措置が講じられない以上、検察官としては安易に開示に応じられない。閲覧(再生)にとどまるなら直ちに開示に応じることを考慮する用意がある。謄写(ダビング)まで求めてきた場合、①謄写本(枚)数は1本(枚)、②複写禁止、③適正保管、④第三者への交付、提示、提供の禁止、⑤再生の場合の第三者の立入り、聴取の禁止、⑥弁護活動終了後のデータ消去(消去は返却を受けた検察官が行う。)といった条件を付し、これらを遵守することを弁護側が誓約することが不可欠。なお、開示方法に関する交渉は裁判所を介在させて行うとともに、これらの条件は打合せ期日調書に明確に記載されたい。