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-速報-足利事件10・5三者協議開催

第1 三者協議の概要

1、10月5日午前10時から宇都宮地裁で開催されました。

裁判所(佐藤、小林、市原)、検察官(山口、築)、菅家さんと弁護人11名が出席しました。

2、この三者協議は、検察官が録音テープや書証等を開示するに当たり、6項目の条件を呈示し、その条件を遵守することを裁判所の前で約束して欲しいとのことで開催されたものでした。

弁護人は録音テープ等の開示が最優先と考え、「書証については弁護人使用のためのコピーは制約しないこと」以外は検察官の条件を丸飲みする予定でした。

3、ところが、冒頭、山口検事は、

①録音テープ等を開示するが、これは裁判所の勧告に応じたからではない、

②裁判所は前回、弁護人の証拠排除の申立の判断に必要な範囲で証拠調べを行うと述べたが、これは刑事裁判の目的を逸脱するおそれがある、

という主張を蒸し返した上、裁判所に対し、今後の進行について、

③証拠排除の申立の判断に必要な範囲での証拠調べをする確率いかん、

④その証拠決定はいつの時点で行うのか、

⑤半年程度で審理を終えるということは半年一杯審理を行うということなのか否か明らかにせよ。

と迫りました。

4、弁護人は、今回の手続はそのような主張をすることは予定されていない、検察官こそ本日の手続の目的を逸脱していると主張しました。

5,しかし、裁判所は質問に回答するとして、証拠排除の申立の判断に必要な範囲で証拠調べを行うことは必ずしも刑事裁判の目的に反するものではないというのが裁判所の考えであることは前回お伝えした、その上で、③は証拠請求に理由があればそうする可能性があると考えておいて欲しいということである、④は証拠請求とそれに対する意見が出揃っていればその時点で判断する、⑤は最大限半年程度で審理を終えることが相当であるという趣旨である、と回答しました。

6、検察官の主張は、「録音テープ等の開示は再審公判の審理のためではない、再審公判ではDNA再鑑定をした検察側推薦の鈴木廣一教授を取り調べれば直ちに結審できるはずで、そうしなければ刑事裁判の目的を逸脱する」というものですが、これは裁判所に対する牽制であり、山口検事の物言いは一種の脅迫に近いものでした。

これは、宇都宮地検検事正が菅家さんに謝罪し、録音テープ等を開示した結果、流れが弁護側に傾くことを恐れたものと思われます。弁護側が求める科警研のDNA型鑑定の証拠能力に関する本田克也教授に対する証人尋問、自白の任意性に関する録音テープ等の再生という証拠調べを、何としてでも再審公判で行わせないことが検察官の至上課題であることが一層明確になりました。

7、このような協議の結果、録音テープ等の開示条件として、①謄写本数は1セット、②複写禁止(但し、書証については弁護人分は除く)、③適正保管、④第三者への交付、提示、提供の禁止、⑤再生の場合の第三者の立入、聴取の禁止、⑥弁護活動終了後のデータ消去(消去は返却を受けた検察官が行う)を裁判所が打ち合わせ調書に記載することとして三者協議を終え、裁判所に隣接する宇都宮地検に移り、以下の物件の証拠開示を受けました。

⑴ 菅家さんの取調べ録音ダビングテープ15本(120分テープで警察分3本、検察分12本)

⑵ 菅家さんの上申書、供述録取書45通

⑶ 警察官作成の取調べ捜査報告書8通

⑷ 取調べ担当の森川大司検事の取調べノート2冊分(抄録)

なお、事前に交付を求めてい録音テープの反訳書については、検察官は証拠ではないとして交付しませんでしたが、弁護団は交付を強く求め、検察官は「検討する」と回答しました。

8、三者協議に先立ち午前9時から宇都宮地検において幕田英雄検事正が菅家さんに対し誤起訴について謝罪しました。幕田検事正は「無実の菅家さんを誤って起訴し長い間苦しめたことをお詫びする。重く受け止めてこのようなことが二度とないようにしたい」と深く頭を下げ、菅家さんは「自分のような者を二度と出さないようにして欲しい」と述べました。

検事正の謝罪と三者協議における山口検事の対応は矛盾しており、検察庁は「二枚舌」としか言い様がありません。

 

第2 三者協議確認事項 

●公判日程

第1回公判 10月21日(水)午前10時

第2回公判 11月24日(火)午前10時

 

●公判の内容

第一回再審公判

公判手続の更新として、再度、①人定質問、②起訴状朗読、③罪状認否、を行った後、④控訴審も含む確定審の証拠調べを適宜の方法で行い(原則裁判所が行うが、弁護人が強調したい部分は弁護人が担当する)、再審公判独自の手続として、⑤検察官、弁護人双方の冒頭陳述(弁護人は科警研DNA]型鑑定と自白についての証拠排除の申立を含む)、⑥双方の証拠調べ請求を行い、⑦裁判所は証拠採用を決定する。

 

第二回再審公判

DNA再鑑定をした鈴木廣一大阪医科大学法医学教授の証人尋問を予定する。なお弁護側は当日、同じく再鑑定人である本田克也筑波大法医学教授の証人尋問も可能であると予告しています。

 

第3 10月6日―検察官の録音テープの内容に関する回答について、弁護団が検察官に抗議

 今回の録音テープは、足利事件以外の2件の幼女殺害事件についての取調べ録音テープであるとして開示されました。

これに先立ち、弁護団は「足利事件自体に関する取調べの録音テープはないのか」と検察官に質問していました。

これに対し、宇都宮地検の築雅子検事は「回答を差し控える」としていました。

ところが、弁護団で録音テープを確認したところ、その中には別件2件とともに足利事件についても菅家さんが否認する様が録音されているものがあり、その後、足利事件について取調べ検察官が追求して菅家さんが再度自白する状況も録音されていることが判明しました。

そこで佐藤博史主任弁護人は、築検事に対し、「当初は別件だから証拠開示しないと言った上、テープの内容を知りながら回答を差し控えるなどと言ったことは極めて不誠実である」と強く抗議しました。

 

第4 10月7日―検察官、録音テープの反訳書を弁護団に交付

 足利事件及び別件2件に関する菅家さんの取調べ録音テープは合計24時間分以上あることから、弁護団は検察官に対し、録音テープの反訳書の交付を強く求めていました。

 これに対し、検察官は、10月7日夕方、録音テープの反訳書を弁護団に交付しました。