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-速報-検察官が公判の進め方につき意見書(09.8.24付)を提出:「誤判原因の解明はすべきではない」と早期結審を要求

―速報―検察官が再審公判の進め方につき意見書(09.8.24付)を提出 : 「誤判原因の解明はすべきでない」と早期結審を要求

 

1,検察官意見書の要旨

検察官は宇都宮地裁に、要旨以下の意見書を8月24日付で提出しました。

1)検察官は、無罪を立証するために必要な証拠調べをする予定である。鈴木大阪医大教授のDNA型鑑定のみを取調請求し、弁護人が求めている本田克也筑波大教授のDNA鑑定の取調請求は一切考えていない。

2)弁護人は誤判原因の解明として数多くの証拠調べを請求する方針を示すが、証拠調べは有罪無罪の結論を導く前提として証拠能力等を判断する必要がある場合に、その限度で行われるべきである。捜査や裁判手続の検証それ自体が目的とされているわけではない。「被告人自身の主観的な希望や願望と関わりなく」「迅速な無罪判決によって、被告人・受刑者の地位から法的に解放することこそが菅家氏の利益にかなうのであり、それがまた、公益にかなうところでもある」から、誤判原因の解明ないし検証を目的とする証拠調べは、刑事裁判の制度目的を逸脱し、手続の遅延を招く点で、不相当である。

3)弁護人は期日間整理手続を求めているが、本件には何らの争点がないから、同手続に付する前提を欠き反対である。

4)誤判原因の解明に固執する弁護人の対応は正当なものとは言い難い。公判期日の指定は裁判長の命令の性質を持ち、指定に当たって訴訟関係人の意見を聞かなければならないとはされていないので、裁判所は早期に無罪判決までのスケジュールを念頭に置いた公判期日の指定をするよう求める。

 

2,弁護人らの批判

これに対して、弁護人らは、本件では誤判原因の解明こそが「事案の真相を明らかにし」(刑事訴訟法第1条)、司法手続の「被害者」である菅家さんの「基本的人権の保障を全う」(同条)するものであり、誤判防止という刑事訴訟法の根本理念に合致し、国民の付託に応える道であって、まさに「公益」である。検察官の意見は、刑事訴訟法の根本理念及び同第1条に反する、「臭いものに蓋をする」ための不当な意見である、と強く批判しています。

 

3,解説

最高裁をはじめ本件各審級の裁判所が「誤判の最終責任者」であるだけに、宇都宮地裁が9月4日の三者協議において、責任を正面から受け止めて誤判原因の解明を含めて審理を行うか、弁護人が指摘する「臭いものに蓋をする」という立場をとるか、その対応が注目されます。

国家・社会において機関・企業・団体・組織として存在することが許される最低限の能力である「自浄能力」、すなわち「誤りの原因を究明し、今後の対策を講じ、これを実行することにより、自らが誤りを正す能力」があるかどうかを問われています。近年、「自浄能力」を欠いた団体・組織・企業等が信用を失墜し、解散・倒産に至った例は少なくありません。

本件において、わが国の刑事司法制度は「自浄能力」を有しているかどうかを問われており、多くの人々が本件審理のあり方を期待し、注視しております。

裁判所がその期待に反したとき、わが国の刑事司法制度は信頼を失い、瓦解への途を歩む危機に立っています。

裁判所・検察官は、この危機を認識して本件審理に臨むべきでしょう。